経営企画ってどんな仕事?忙しいって本当?

2021年12月22日

この記事にたどり着いた方・読まれている方は、

・経営企画部門で働いてみたい(もしくは異動を内示された)
・でも業務のイメージがわかない。自分にできるか不安

こういった方が多いのではないかと思います。

ここでは経営企画という部署の役割と業務について、私の実体験を元にご説明します。
経営企画部門に新しく配属される方、自分が活躍できるのか不安な方はこの記事を最後までご覧いただくのをおすすめします。

具体的な仕事内容を早く知りたい方は、こちらの投稿をご参照ください。

中の人
がありっく

東証一部上場の某大手IT企業の経営企画部長(38歳)。
プロダクト企画や新規事業開発を経て経営企画として約5年。
これまで新しい事業やプロダクトを生む0→1の辛さを経験している分、
現在は経営企画として、1→10への成長に向けた課題発見と改善に従事。
データ分析大好き人間。

経営企画部門に対するイメージと実態

「経営企画部(室)」に対して、皆さんはどのようなイメージを持っていますか?

  • 頭が良い人が多い
  • 将来の経営幹部候補の集団、花形組織
  • 深夜まで帰れないくらい忙しい
  • 事業部門から煙たがられている

など、色々あるかと思います。

頭が良い人が多い?

半分合っていて、半分違います。
確かに頭が良さそうに見える人は多いです。

あえて「頭が良さそうに見える」と記載したのは、「実は頭が良くない」という意味ではありません。笑
経営企画部門で働く上で必要となるスキルの一つであるクリティカルシンキング能力が高いだけ、という意味です。
クリティカルシンキング能力が高いと発言が的を射たものであることが多く、頭が良さそうに見えるだけなのです。

将来の経営幹部候補の集団、花形組織?

これは事実だと思います。
といっても、「経営企画部門に経営幹部候補を集めている」のではなく、「経営企画部門にいると経営幹部になれる確率が高い」のだと考えています。

経営企画部門では、経営に近い立場で会社を捉え、会社が次に取るべき行動を判断する必要があります。
その業務を遂行する上では、現在の経営幹部の意見に直接触れる機会も多いですし、自分の役職よりも上の役職の方と話す機会も多いです。
役職のついていない経営企画部門の平社員が、事業部門の課長や部長の方と直接話すという機会も多いです。

こういった機会を通じて、経営幹部として必要な考え方が身につき、また上層部に顔と名前を覚えてもらえるので自分の能力を正しく評価してもらいやすい環境が整っています。
そのため、経営幹部になれる確率が高くなるのだと考えています。

深夜まで帰れないくらい忙しい?

一昔前までは事実でしたが、昨今では働き方改革や36協定の改定などにより、変わってきている会社が多いと思います。

私が勤める会社も、数年前までは残業時間が100時間以上が普通でした(言っていいのかわかりませんが…笑)。
ですがこの数年間の働き方改革のおかげで、残業時間に上限が設けられ、またRPAなどの自動化ツールをはじめとした技術革新により、残業時間がだいぶ削減されています。

とはいえ、全社の中では比較的残業時間が多い部類に入ると思います。
転職サイト大手のdodaが調査した結果(記事はコチラ)によると

  • 全業種平均残業時間:20.6時間
  • 経営企画/事業企画:23.5時間(全90職種中、第26位)

と、相変わらず全職業の平均よりは多いということがわかりますね。

事業部門から煙たがられている?

会社にもよるかもしれませんが、事実であることが多いのではないでしょうか。

経営企画部門は会社の存続と成長に対しての責任を持っている部門ですので、事業部門に対して高い利益目標を求めたり、新規事業に対して厳しい目で見ることになります。
その結果、事業部門にとっては目の上のたんこぶ的な存在になってしまうため、結果として煙たがられているということもあると思います。

ですが働いているのはお互い人間ですので、腹を割ってコミュニケーションを取ればWin-Winな関係を築くこともできますので、部署というよりは人にもよるかと思います。
(私も業務を行う上では、事業部門と良好な関係を築くことを第一に心がけています)

働く上で最低限必要な3つのスキル+α

経営企画で働く上では、最低限、下記の3つのスキル(+α)があれば困ることはないと思います。

最低限の会計知識

会社の数字を扱う上では、損益計算書(P/L)、貸借対照表(B/S)、キャッシュフロー計算書(C/F)といった財務諸表の数字に触れることが多いです。
そのため、日商簿記3級レベルの知識は最低限身につけておくことをおすすめします。

ただし、経営企画部門は経理部門ではないので、簿記ができることがそのまま業務に活かせるということは多くはないです。
ですが会計に関する知識がないと会社の数字の意味を理解しづらい部分がありますので、知識として身につけた上で、業務を通じて経験を積んでいくことをおすすめします。

ちなみに私の場合は日商簿記の勉強をしたことはなく、経営企画部門に配属されてからの経験で独学で学んでいきましたが、今振り返ると無駄が多かったと思います。
ですので、日商簿記やビジネス会計検定、管理会計検定といった資格の勉強をすることをおすすめします。
資格は無駄にならないですし、会社によっては手当が出るところもありますしね!

コミュニケーションスキル

経営企画部門は、自分たちで事業を行っているわけではありません。
実際に事業を行っている事業部門との密なコミュニケーションが必須です。

そして、前述の通り経営企画部門は事業部門からは目の上のたんこぶ的に扱われていることが多いですので、なおさら腹を割って話す必要があります。
お互いにとってWin-Winとなる関係を築くためのコミュニケーションスキルは、経営企画部門で働く上では非常に重要なスキルです。

ロジカルシンキング / クリティカルシンキング能力

経営企画部門では、物事の本質を捉え、事業課題を認識し、その課題に対して本質的に何に取り組むべきかが求められます。
そのため、ロジカルシンキングやクリティカルシンキングといった、物事を論理的に理解し、本質を捉える能力が求められます。

しかし最初からこれらのスキルが高い人などほとんどいません。私自身もそうでした。
経営企画で働く上で身につくので、今そういったスキルが無いからと落ち込む必要はありませんので安心ください。

(上記に加えてあると望ましいスキル)Excel、PowerPoint、データ分析

Excelスキル

利益計画や事業計画などを作成する必要も出てきますので、Excelは使えることが望ましいです。
四則演算に加えて、vlookupやsumif、offsetなども使えると役に立つでしょう。
またピボットテーブルや組み合わせグラフなども使えると業務上有利です。

PowerPoint(もしくはKeynote)スキル

経営陣に向けて説明資料が必要になりますので、PowerPointやKeynoteで分かりやすい資料を作れる能力は必要です。
経営陣の皆さんも短時間でたくさんの情報を処理・判断しないといけないので、「10秒で言いたいことが分かる」「1スライド1メッセージ」などを心がけた資料が作れるといいでしょう。

データ分析スキル

会社の課題をあぶり出すために、競合情報や社内データを分析する力も必要になってきます。
加えて、社内データウェアハウス(DWH)から必要なデータを自身で抽出するためにSQLなどのデータ抽出スキルもあるとなお良いです。

経営企画として働くメリット・デメリット

最後に、これから経営企画として働こうとしている・働くか悩んでいる皆様に、経営企画で働くメリットとデメリットを率直にお伝えします。

メリット

経営層の考えに直接触れる事ができ、自分の成長につながる

上記で述べたとおり、経営に近い立場で会社の維持・成長に責任を持つのが経営企画の業務です。
そのため経営会議など経営層の考え方を直接聞くことができ、社内での物事の考え方を一段上のレベルに成長させることができます。

社内ネットワークが広がる

こちらも上記で述べましたが、各事業部門とコミュニケーションがメイン業務となりますので、社内の各事業部門とネットワークができます。
また継続的かつ親密なコミュニケーションが求められますので、必然的に事業部門との関係も非常に深いものになります。

また事業部門だけでなく、コスト管理や管理会計のシステム作りなどで人事部門や情報システム部門などとのネットワークも作ることができます。

転職時にも強い

経営企画はそれなりの規模の会社であればどの会社にも存在し、また必要なスキルはある程度共通ですので、転職に有利という点もメリットです。
また、会社の維持・成長を考えられるという経営に近い目線を持っていることや、ロジカルシンキング・クリティカルシンキングのスキルが高いという点から、事業会社の経営企画部門だけでなく、戦略系コンサルも転職先の候補として考えられるようになります。

デメリット

仕事に対するプレッシャーが大きい

会社の維持・成長に責任を持つという仕事柄、経営企画部門の一つの判断ミスから、経営に重大なダメージを与えるということもありえます
また一つの案件ごとに、経営陣が気になるであろうあらゆるパターンに対して一定の考えを持ち、どのような質問が経営陣から出てきても答えられるよう、プレゼンする内容の何倍もの検討を前もって考えておく必要があります。
こういったプレッシャーをやりがいと感じられれば楽しいのですが、そう感じられなければデメリットの一つとなるでしょう。

残業時間が多い

前述の通り、経営企画部門は他の部門に比べて残業が多くなりやすい部門です。
経営企画部門は少数精鋭なことが多く、一人あたりの業務量も多くなりがちというのも一つの要因です。

また仕事に対するプレッシャーから、常に気を張って業務に取り組んでいる必要があり、考えることがどんどん増えてくるのでどうしても残業をせざるを得ない場面も出てくることがあります。

とはいえ昨今では働き方改革や36協定の改定により、経営陣や人事部門からの残業時間に対する目も厳しくなっていますので、今後は残業時間の多さはデメリットとはならない時代が来るのかなと思います。

最後に

いかがでしたでしょうか?
経営企画部門の実態をわかっていただけましたでしょうか。

もし皆さんが経営企画部門で働くという選択肢をお持ちなのでしたら、私個人としては受けることをおすすめします。
プレッシャーをやりがいと感じることができればとても楽しいですし、なにより自身の社会人としての成長にも繋がる点が大きいと考えているからです。

経営企画の業務をもっと具体的に知りたい方は、下記投稿を読んでいただければ幸いです。


以上、がありっくでした。
皆さんのお役に立てれば幸いです。