起業を目指すなら必見!事業計画の作り方

この記事では、起業や事業開発など、事業を立ち上げるのに必ず必要となる「事業計画」について、検討プロセスとその際によく使われるフレームワークについてご説明します。

中の人
がありっく

東証一部上場の某大手IT企業の経営企画部長(38歳)。
プロダクト企画や新規事業開発を経て経営企画として約5年。
これまで新しい事業やプロダクトを生む0→1の辛さを経験している分、
現在は経営企画として、1→10への成長に向けた課題発見と改善に従事。
データ分析大好き人間。

事業計画とはなにか?

事業計画とはその名の通り、事業の将来像を表したものです。
その事業のコンセプトだけでなく、なぜその事業が成功するのか、どれくらいの利益が見込まれる事業なのかを分かりやすく示したものとなります。

事業計画がなぜ必要なのか?

新しく事業を立ち上げるには投資家からの資金が必要です。
システム開発をする、原材料を仕入れる、プロモーションを打つ、人を雇う。
何をするにしても資金が必要になります。

そのため、事業計画を説明することで「自分たちの事業はこんな成長をしていくので、ぜひ投資してください」とアピールし、資金調達を目指します。

ちなみに企業の中での新規事業の立ち上げの場合は、「資金調達」を「社内承認」と言い換えてもいいかもしれません。
(まぁ普通はその企業に対して出資をしている投資家がいるはずなので、正確にはそういった投資家への説明・承認ということにはなりますが)

事業計画はどう作るのか?

事業計画を作るまでには、大きく6つのプロセスがあります。
※起業において会社を新たに作るプロセスについては省略します

  1. 事業アイディアの立案
  2. 市場環境の分析
  3. ビジョンの設定
  4. マーケティング戦略の策定
  5. 事業の具体化
  6. 利益計画の作成

各プロセスを、よく使われるフレームワークとともにご紹介します。

事業アイディアの立案

まずは事業アイディアがないと始まりません。
といってもこの段階では大げさなものではなく、「こんなものあると便利だよね」といった粗いもので構いません。
(このプロセスで出したアイディアを、次以降のプロセスでより具体化していきます)

アイディアを出すのには「ブレインストーミング(ブレスト)」や「マインドマップ」といったフレームワークが用いられます。

ブレインストーミング(ブレスト)

ある一定のテーマや課題に対して、複数人数で様々な観点からアイディアを出し合い、発想を広げていく手法です。
一般的には、大きめのホワイトボードもしくは紙に、アイディアを書いた付箋を貼っていきます。

何人かでアイディアを出し合うことで、自分一人では思いつかないアイディアが生まれることを期待した手法です。
ブレインストーミングを行った後、出たアイディアをグループに分けるなどで整理し、アイディアの方向性を固めます。

ブレインストーミングを行う際には下記のようなルールがあります。

ブレインストーミングの4原則

判断・結論を出さない(結論厳禁)
自由なアイデア抽出を制限するような、批判を含む判断・結論は慎む。判断・結論は、ブレインストーミングの次の段階にゆずる。ただし可能性を広く抽出するための質問や意見ならば、その場で自由にぶつけ合う。たとえば「予算が足りない」と否定するのはこの段階では正しくないが、「予算が足りないがどう対応するのか」と可能性を広げる発言は歓迎される。

粗野な考えを歓迎する(自由奔放)
誰もが思いつきそうなアイデアよりも、奇抜な考え方やユニークで斬新なアイデアを重視する。新規性のある発明はたいてい最初は笑いものにされる事が多く、そういった提案こそを重視すること。

量を重視する(質より量)
様々な角度から、多くのアイデアを出す。一般的な考え方・アイデアはもちろん、一般的でなく新規性のある考え方・アイデアまであらゆる提案を歓迎する。

アイディアを結合し発展させる(結合改善)
別々のアイデアをくっつけたり一部を変化させたりすることで、新たなアイデアを生み出していく。他人の意見に便乗することが推奨される。

ブレインストーミング - Wikipedia

マインドマップ

マインドマップは、課題やテーマを図の中心に記載し、そこから連想される要因やアイディアを枝分かれさせて発展させていく手法です。


ブレインストーミングに近く、同じような用途で用いることもできますが、大きな違いは下記と考えています。

  • ブレインストーミング :アイディアの幅を広げるのに役立つ
    • 例:レジの行列を解決したい →レジの台数を増やす、そもそもレジを設けない(無人店舗化)、
  • マインドマップ :アイディアや課題を深堀りするのに役立つ
    • 例:レジの行列を解決したい →なぜレジが行列するのかを深堀りする

ちなみに、メモ魔として知られている前田裕二さん(ライブ配信サービス「SHOWROOM」社長)もよく使われている手法だそうです。

市場環境の分析

アイディアが固まったら、そのアイディアが市場環境の事実を収集し、見える化する必要があります。
どんなに自分が「こんなものがあると便利だ」と思っていても、市場ニーズがなければ事業としては成り立ちません。

環境分析に用いられる手法として有名なフレームワークが「PEST分析」や「3C分析」です。
PEST分析はマクロ環境の分析に、3C分析は外部環境に加えて内部環境も含めた分析を行います。

PEST分析

Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の4つの観点から、その事業を取り巻くマクロ環境の状況を把握・分析します。

  • Politics:政治的側面
    • 法律(法規制、規制緩和など)、税制、政治など
  • Economy:経済的側面
    • 経済成長率、景気動向、物価、為替など
  • Society:社会的側面
    • 人口や世帯の動向、宗教、教育など
  • Technology:技術的側面
    • 新技術、インフラ、IT活用など

3C分析

Customer(市場)、Competitor(競合)、Company(自社)の3つの視点で事業領域を捉えます。

  • Customer(市場)
    • 市場や顧客が何を望んでいるか
  • Competitor(競合)
    • 競合相手はどこか、競合はどのようなプロダクトを提供しているか
  • Company(自社)
    • 自社としてどういう状況にあるか

ビジョンの設定

市場の分析ができたら、今度は事業としてのビジョンの設定です。
この事業を通じて、自分たちだからこそ実現できるビジョンであることが重要です。
(他社に真似できるようなものだと意味がない)

これまでに行ってきた市場環境分析を通じて、「SWOT分析」で整理していきます。

SWOT分析

前述の市場分析で得た情報を元に、内部環境/外部環境ごとにプラス要素とマイナス要素を洗い出し、自分たちが目指すべきビジョンを策定します。
マイナス要素を解決するもの、かつプラス要素を強化するものがベストですが、どちらかでも構いません。

プラス要素マイナス要素
内部環境Strength(強み)
自社が持っているプラス要素
Weakness(弱み)
自社が抱えているマイナス要素
外部環境Opportunity(機会)
自分たちの事業に対して
市場がプラスに働きそうな要素
Threat(脅威)
自分たちの事業に対して
市場がマイナスに影響しそうな要素

マーケティング戦略の策定

ここからはより具体的に、事業を成長させる方法の検討フェーズに入ります。
事業を成長させるためには、マーケティングが重要です。

自分たちの事業が競合とどのように違うのか差別化し、自分たちの事業をどういったユーザを中心に広めていくかを決定していきます。

このフェーズでは、「ポジショニング」と「ターゲティング(セグメンテーション)」を軸にマーケティング戦略を検討します。

ポジショニング

自分たちの事業が競合と比べてなにが優れているのか、差別化を明確にする手法です。
通常はX軸/Y軸の2軸で整理し、競合が少ないように整理します。
どんな軸で整理しても競合が多い場合はレッドオーシャンに飛び込むことを意味しており、差別化ができていないので、市場でシェアを取ることは難しいことが多いです。

ターゲティング(セグメンテーション)

顧客層をいくつかの軸でセグメントに分け、自分たちの事業のポジショニングに合うターゲット顧客を決定します。

ここで決めたターゲット顧客層のボリュームがこの事業の最大規模となるので、ボリュームがあまりに小さいセグメントを狙いに行くのは得策ではないことが多いです。
(この市場規模を「TAM:Total Addressable Market」といいます)

事業の具体化

ここまでで事業のビジョン、競合との差別化ポイント、ターゲット顧客層が決まりました。
あとはこれらの情報を整理し、何をいくらでどのように売っていくか、を具体的に決めていきます。

4P(マーケティングミックス)」と呼ばれるフレームワークを用いて、事業内容を具体化します。

4P(マーケティングミックス)

Product(製品戦略)、Price(価格戦略)、Place(販売チャネル戦略)、Promotion(プロモーション戦略)の4つの観点で、事業を具体化してきます。
いずれも事業を拡大させるためのマーケティングにおいて重要な視点となっています。

利益計画の作成

ようやく、具体的な事業内容とマーケティング戦略が固まりました。
最後にこのマーケティング戦略に則り、事業がどれくらいの利益を生むのか具体的な数字に落とし込んでいきます。

ここでは、フレームワークではありませんが「KPI・KGI」という考え方を理解しておくことが重要です。

KPI・KGI

KPIは「Key Performance Indicator(重要業績評価指標)」、KGIは「Key Goal Indicator(重要目標達成指標)」の略です。
最終目標であるKGIだけを管理していても事業の何が良くて何が悪いのかというパフォーマンスが測れないため、中間指標としてのKPIで管理し、事業パフォーマンスを測ることを目的としています。

例えば事業の売上金額がKGI(最終目標)とした場合、売上金額をユーザー数×売上単価に分解した「ユーザー数」「売上単価」がKPI(中間指標)となります。

利益計画は、KGIである利益をKPIに分解し、具体的なマーケティング戦略に従って各KPIを推計することで作り上げます。

もっと学ぶためには

いかがでしたでしょうか。
だいぶ簡略化していますが、起業や新規事業に必要な事業計画の立て方をご説明しました。

もっと具体的に学びたい、という方は下記も参考にされてください。

学生の皆さんであれば、起業を学ぶビジネススクール「WILLFU STARTUP ACADEMY」に参加して学ぶという手があります。
サイバーエージェントも出資しており、今までにない事業形態です。
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また、社会人の方や、MBAも取得したいということであれば、グロービスもおすすめです。
(ここまでの説明でも動画をご紹介してきました)
私は単科生として通っていましたが、マーケティングや事業戦略についてビジネスケースを通じて深く学ぶことができます。

皆さんのお役に立てれば幸いです。
以上、がありっくでした。