FP&A(経営企画)の正体とは?「CFOの右腕」として事業を支える泥臭いリアルと、やりがい

こんにちは、がありっくです。

​前回の記事では「管理会計と財務会計の違い」についてお話ししましたが、今回はその知識を武器に戦う職種、「FP&A(Financial Planning & Analysis)」について深掘りしたいと思います。

※前回の記事はこちらご参照

財務会計と管理会計、何が違う?FP&A経験者が教える「生きた数字」を意思決定に使うコツ

​最近、外資系や急成長SaaSなどでよく耳にするこの職種。直訳すれば「財務的な計画と分析」ですが、実務の現場ではもっと人間臭く、そして最高に泥臭い役割を担っています。

​1. FP&Aは「CFOの右腕」であり「事業部の成長パートナー」

​FP&Aを一言で表すなら、「数字という地図を持って、経営と現場の航海をサポートするパートナー」です。

​経理やIRのように「法律や規則で決まったルーティン」があるわけではありません。ですが、企業価値を本気で高めようとするなら、なくてはならない存在です。

  • 役割: 予算(未来)を立て、実績(過去)を分析し、次の打ち手(意思決定)を支援する。
  • 立ち位置: 経営企画の中にこの機能があることも多いですが、より事業部のPL(損益)に深く入り込み、財務的な成長を「並走して」支えるのが特徴です。
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​2. 他の職種との決定的な違い(役割比較表)

​「会社の中で数字を扱う部署」は意外と多いものです。

経理、IR、財務、経営企画……それぞれの役割とFP&Aの違いを整理してみました。これを見ると、FP&Aがいかに「事業現場に近い場所」にいるかがわかります。

経理IR財務戦略経営企画FP&A
向き合う相手税務署/監査法人株主/投資家銀行/金融市場経営層経営層/事業部長/現場
主な役割過去の実績計上外部への情報開示資金調達/管理全社戦略/特命予算/予測/分析
時間軸過去(正確性)過去〜未来(期待)現在〜未来(資金)未来(戦略)過去〜未来(改善)
立ち位置管理/守り窓口/対話資金の最適化全社最適の参謀事業成長の伴走者

IRが「外の世界」に期待を持たせる仕事なら、FP&Aは「内の世界」でその期待を現実にする仕事、とも言えるかもしれません。

​3. 「孤独」と「板挟み」を乗り越えるのは、ロジックと愛

​FP&Aをやっていると、経営層からは「もっと利益を」と言われ、現場からは「数字だけ見て現場の何がわかるんだ」と言われる……そんな「孤独な板挟み」を感じる瞬間が必ずあります。

​そんな時、私が一番大切にしているのは「相手の納得感」です。

​頭ごなしに「数字がこうだからやってください」と言っても、相手は受け身になるだけ。

  • ​「この施策は、結果的に現場の皆さんにとってもこういうメリットがあります(Win-Win)」
  • ​「過去のトレンドから見ると、ロジカルに考えてこっちの道の方が勝率が高いですよね」

​こうして、相手が主体的に動けるまで丁寧にコンセンサスを取る。相手も人間ですから、最後はコミュニケーションです。この「泥臭い説得」こそが、FP&Aの仕事の本質です。

​4. 地味な「Excelのグラフ一枚」が事業を救う

​成功体験というと派手なM&Aなどを想像されるかもしれませんが、実務の喜びはもっと地味なところにあります。

​以前、複雑な数字が並ぶだけの事業PLを、重要なポイントに絞って可視化(グラフ化)したExcelを作ったことがありました。

​事業部の皆さんからすれば、数字の羅列は読み解くのが難しいもの。それを「右脳でパッと傾向がわかる」ように整理して届けたとき、現場の皆さんから「助かるー!」という言葉をいただけました。

​「ありがとう」「助かった」。

そんな言葉を励みに、誰かの意思決定をサポートすることに喜びを感じられる人は、FP&Aにすごく向いていると思います。

​5. 管理会計は「魔法」ではない。基礎固めに1年かかるリアル

​よく「管理会計を導入すれば魔法のように事業が伸びる」と思われがちですが、現実はそんなに甘くありません(笑)。

  • ​自分たちの事業を正しく測れる「科目体系」を考え抜く。
  • ​KPIを、現場がコントロール可能な要素まで分解する。
  • ​財務データを、管理会計用の分類にすべて仕分けし直す。

​これだけで、ゆうに半年から1年はかかります。

でも、この基礎がないまま分析をしても、誰も納得しない「砂上の楼閣」になってしまいます。どんなにリソースが足りなくても、この「基礎作り」だけは急がば回れでやり遂げる必要があります。

​おわりに:理想と現実の狭間で

​……と、自信満々に書いてきましたが、実は私自身、今でもいつも自信があるわけではありません。

​やりたいこと、やるべきことは頭の中に100あるのに、リソースが足りなくてやり切れない。理想のFP&A像にはまだまだ程遠い……そんなギャップに毎日悩んでいます。

​でも、「もっと良くできるはずだ」と悩み続けることこそが、FP&Aとしての誠実さなのかな、とも思うのです。

​完璧なFP&Aなんてどこにもいません。

それでも、現場に寄り添い、数字で未来を少しだけ明るく照らす。そんな泥臭いプロフェッショナルがもっと増えたら嬉しいなと思っています。

そしてもし興味をもっていただけたら、以下の本を読んでみていただくことをオススメします。

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FP&Aの役割と実務について体系的に書かれており、またインテルでの財務コントローラーや日本トイザらスでCFOをさ歴任されてきた著者のリアルなコラムなどもあり、とても読み応えがあります。

私はこの本を5年ほど前に買いましたが、いまだにバイブル的に読み返すほど、よい本だと思います!