未整備な現場を掌握するFP&Aの初動術。爆速Excelとトラックボール

「前職では、もっと整った環境だったのに……」
転職直後、管理会計やFP&Aの人間が真っ先にぶつかる壁。それは「数字の汚さ」ではなく、「現場との温度差」です。仕組みを作りに来たあなたは、現場から見れば「仕事を増やしに来た異物」でしかありません。
このアウェイな環境で、3ヶ月以内に「この人の言うことなら聞こう」と思わせる(=軍師の座に座る)には、正論よりも先に「圧倒的な実務の解像度とスピード」を見せつける必要があります。
そのスピードを物理的に支えるのが、私が長年愛用している「トラックボールマウス」です。これは単なるガジェットではなく、過酷な現場を生き抜くための「プロの標準装備」なのです。
1. 「思考の慣性」を殺さない。100列のPLを縦横無尽に滑空する快感
FP&Aの実務は、数千行、数百列に及ぶ巨大なPL連結シートとの戦いです。この「広大なセルの海」を移動する際、普通のマウスが抱える最大の弱点は、実はスクロール操作による思考の分断にあります。
- 縦の移動:ホイールを何度も「カリカリ」と回し続けなければならない。
- 横の移動:チルトホイール機能があっても、反応が鈍く、数行動かすだけで精一杯。
この「物理的なスクロールの限界」が、複雑な論理構造を組み立てている脳の邪魔をするのです。そこで私は、トラックボールマウスに「Hammerspoon」(※Mac環境の場合。Windowsでも同様の設定ができるツールあります)などのカスタマイズソフトを組み合わせています。
「右クリック+ボール操作」。この設定一つで、Excelシート内を上下左右、さらには斜め方向まで、Macのトラックパッドのように「ヌルヌル」と縦横無尽に移動できるようになります。
指先をわずかに転がすだけで、100列先の予算差異原因まで一気に滑空する。この『スクロールという概念が消える』感覚を一度味わうと、普通のマウスでの分析作業が、まるで足首に重りを付けて走っているようにさえ感じられます。
経営陣からの鋭い問いに対し、迷いなく目的のセルへ到達し、即座に回答する。その爆速の操作性こそが、あなたの「思考の解像度」を現場に知らしめる最初の一撃になります。
2. マウスパッド不要。「空中戦」を制する機動力
未整備な現場では、整った広々としたデスクで分析に没頭できる時間は限られています。現場の担当者に呼び止められ、立ったままノートパソコンを開く。あるいは、書類で埋め尽くされた狭い会議室の隅でシミュレーションを回す。
普通のマウスなら、ノートパソコンのキーボード下にある狭いパームレストのエリアで、何度もマウスを持ち上げては細かく動かす……というストレスの溜まる動作を強いられます。
しかし、トラックボールなら「本体1台分のスペース」さえあれば、そこが最強の分析環境に変わります。極端な話、立ち話でノートパソコンを片手に持ったままの『空中』でも、普段とまったく変わらない爆速操作が可能なのです。
この「場所を選ばない機動力」が、現場への即答性を担保します。
3. 「何それ?」を起点に、組織の壁を溶かす
もう一つ、トラックボールには意外な効能があります。それは、保守的な現場において「最高の会話のフック」になることです。
新しい環境で「得体の知れない転職者」だった私が、現場のプロパー社員と距離を縮めたきっかけの多くは、私の手元を見た彼らからの「そのマウス、使いにくくないですか?」「何ですかそれ?」という質問でした。
あえてマイノリティな道具を使い、相手に質問させる隙を作る。「実はこれ、広大なExcelを扱うためのプロの道具なんです」と返すことで、自然と「自分の専門性」と「効率化への拘り」が伝わります。異物から「面白いこだわりを持つ専門家(味方)」へ。トラックボールは、心理的な壁を突破するための外交カードにもなり得るのです。
4. 現場を黙らせる「プロの装備」への投資
「弘法筆を選ばず」と言いますが、現代の軍師(FP&A)は筆を徹底的に選ぶべきです。未整備な環境へ飛び込むならなおさら、自分のパフォーマンスを100%発揮できる武器を揃えてください。
もしあなたが本気で環境を変えたいなら、以下のどちらかを手に入れることを強くお勧めします。
① 【妥協なきプロフェッショナルへ】ロジクール MX ERGO
私が愛用しているフラッグシップモデルです。傾斜角を調整できるため長時間のシミュレーションでも手首が全く疲れません。重厚感があり、デスクに置いたときの「プロの道具感」は圧倒的です。
② 【まずは空中戦を体感したい方へ】ロジクール ERGO M575
「いきなりハイエンドはちょっと…」という方は、こちらのエントリーモデルから始めてください。これだけでも、100列のPLを滑空する快感は十分に味わえます。
【実務家向け】私が辿り着いた「最強の設定」
もちろん、ただトラックボールを買えばいいわけではありません。今回紹介した「右クリック+ボール操作での縦横無尽スクロール」を含め、Excel実務においてどのボタンにどう割り当てるか。その「秘伝の設定」で効率はさらに数倍変わります。
具体的な設定の極意については、こちらの記事で詳しく解説しています。
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まとめ:道具を変え、スピードで圧倒しよう
道具を変え、スピードを変え、そうして浮いた時間で「現場の声」に耳を傾ける。そして会議室では、爆速のシミュレーションで経営陣の「もしも」に即答する。
それこそが、新しい環境で「異物」から「不可欠な軍師」へと駆け上がるための最短ルートです。明日からの実務を、指先一つで変えてみませんか。







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